混乱と発展と希望
本書は、いわゆる「京都学派」の宮崎市定教授が、東漢末年の混乱から筆を起こし、三国・西晋・五胡十六国・南北朝・隋・唐と説き進め、宋成立の前夜に至るまで、実に700年に近い中国「中世」の歩みを、マクロの観点から一般向けに分かり易く提示するものです。 筆者は、両漢帝国の崩壊を古代的統一の終焉とし、それに続く分裂と混乱と社会制度の変革を中国史における中世的発展として分析しています。このあたり、ローマ帝国崩壊後の西洋封建社会とのアナロジーが相当意識されており、古代的な繁栄が灰燼に帰した後の荒涼たる時代というのが基本的な時代認識となっています。こうした中、大唐帝国の繁栄についても、いわば中世的展開のクライマックスとして分析されており、唐の「中世的」性格が随所で強調されています。 他方、そうした時代の桎梏の中、人々の日々の営為が社会の発展をもたらし、統一と安定への希望が宋朝成立に向けた時代の方向性を規定していく様子が本書の縦糸をなしており、暗い谷間から明るい平原へと向かうかの如き記述振りとなっています。 この書物が書かれた当時、学界では中国史の時代区分に関して深刻な論争がなされていました。本書は、そうした学術論争を背景に、「京都学派」的な時代観を明快に主張する内容となっています。 しかしながら、そうした学派的立場にかかわらず、魏晋南北朝等における中国史の複雑な展開につき、その中の大きな流れを把握した上で一般向けに平易に説き明かすという点で、本書はやはり近来稀に見る逸品であると思います。中国史ファンの皆さんには、是非一読をおススメしたいと思います。
分かりやすい通史
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中央公論社
雍正帝―中国の独裁君主 (中公文庫) アジア史概説 (中公文庫) 隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO) 科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15)) 史記を語る (岩波文庫)
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